雇用調整助成金の仕訳(勘定科目は雑収入)

雇用調整助成金の仕訳(勘定科目は雑収入)
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雇用調整助成金とは

雇用調整助成金は経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るために従業員に休業手当を支払った場合に、その一部を助成する制度です。

雇用調整助成金は以前からある制度ですが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、注目されるようになりました。また、期間限定で新型コロナ特例が適用され、活用しやすくなっています。新型コロナ特例の雇用調整助成金の会計処理は、通常の雇用調整助成金と同じになります。

雇用調整助成金の勘定科目

雇用調整助成金の勘定科目は「雑収入」になります。

雇用調整助成金の所得税、法人税

雇用調整助成金は所得税や法人税の課税対象となるため、収益として計上する必要があります。

雇用調整助成金の他に、持続化給付金休業協力金も課税対象となるので、同様に「雑収入」として計上します。

なお、世帯主に対して一律10万円が給付された特別定額給付金は非課税となっているので、確定申告は不要です。

雇用調整助成金の消費税

雇用調整助成金の消費税は不課税です。

雇用調整助成金の他に、持続化給付金休業協力金も消費税は不課税です。

雇用調整助成金の仕訳

雇用調整助成金を計上するタイミングは、実際に「休業を実施した月」になります。助成金の受給が決定した月や入金があった月では無いので注意が必要です。

4月に休業を実施して従業員に休業手当を支払った場合は、雇用調整助成金も4月に利益計上します。

例えば、4月に休業を実施して、6月に申請、7月に支給決定通知書を受け取り、8月に雇用調整助成金が入金された場合の仕訳は、次のようになります。

日付借方金額貸方金額摘要
4/25未収入金1,000,000円雑収入1,000,000円雇用調整助成金(4月分)
※消費税不課税
8/31普通預金1,000,000円未収入金1,000,000円雇用調整助成金の入金

事業年度末に確定していない助成金は見積り計上

雇用調整助成金は休業を実施してから、助成金を申請して支給決定通知書を受け取るまでに数ヶ月のずれがあります。申請をしても、審査を受けて、支給決定が出るまで金額は確定しません。

確定申告までに支給金額が確定していない場合、支給される見込みの助成金を「見積り計上」します。具体的には、雇用調整助成金として支給申請した金額を見積り計上することになります。

例えば、3月決算で、3月に休業を実施して、5月に申請、7月に支給決定通知書を受け取り、8月に雇用調整助成金が入金された場合の仕訳は、次のようになります。

日付借方金額貸方金額摘要
3/25未収入金1,000,000円雑収入1,000,000円雇用調整助成金(3月分)の見積り計上
※消費税不課税
8/31普通預金1,000,000円未収入金1,000,000円雇用調整助成金の入金

見積り計上額と支給額に差額がある場合

助成金の審査の結果、見積もり計上した額と実際の支給額が異なる場合は、支給決定通知書を受け取った時点で、差額を利益「雑収入」・損失「雑損失」として計上します。

3月に1,000,000円で見積もり計上して、7月に実際の支給額が800,000円と分かった場合の仕訳は、次のようになります。

日付借方金額貸方金額摘要
3/25未収入金1,000,000円雑収入1,000,000円雇用調整助成金(3月分)の見積り計上
※消費税不課税
7/31雑損失200,000円未収入金200,000円雇用調整助成金の見積り計上額と支給決定額の差額