フリーランスの経費は、すべて「事業主借」で処理する!

フリーランスの経費は、すべて「事業主借」で処理する!

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個人事業主の経費の仕訳

個人事業主(主にフリーランスなどの1人でやっている小規模個人事業主)の経費の仕訳についてです。

よく、「個人事業主なら、事業用のクレジットカードと現金を用意して、支払いは事業用とプライベート用できっちりと分けなさい!」と書かれている記事や書籍を見かけますが、1人でやっているフリーランス、小規模な個人事業主にとっては、個人の支払いと事業の支払いを完全に分けるのはかなりの手間です。

Amazonで買い物する際に、いちいち事業用のクレジットカードとプライベートなクレジットカードを使い分けていられません。

カフェで打ち合わせをする際に、プライベート用の現金を入れた財布と、事業用の現金を入れた財布、両方持ち歩くなんてナンセンスです。

そもそも、自宅で仕事をしているフリーランスの場合、家賃や光熱費は個人用の口座から引き落とされ、その一部だけを事業の経費として処理します。

個人のお金と、事業のお金を完全に分けるのはほとんど不可能です。もちろん、やってやれないことはありませんが、管理にも、仕訳にも、かなりの手間がかかります。

さらに、青色申告は発生主義なので、事業用のクレジットカードで買い物をすると、クレジットカードで支払いをしたタイミングと、銀行口座から引き落としがあったタイミング、それぞれで仕訳を行う必要があります。

Amazonで事業用のクレジットカードを使って11月1日にクリアフィルを買って、30日に引き落とされた場合の仕訳です。

日付 借方 貸方 摘要
11/1 消耗品費 1,000円 未払金 1,000円 事業用VISAカード
Amazonでクリアファイル購入
11/30 未払金 1,000円 普通預金 1,000円 事業用VISAカード
引き落とし

購入日とクレジットカードの引き落とし日、2回の仕訳が必要になります。

フリーランスの個人事業主の経費は、すべて「事業主借」で処理すればいい

独立する際にネットや書籍を見て、こんな面倒なことやっていられない!と思い、税理士に相談したところ、

フリーランスの個人事業主ならば、経費は、すべて「事業主借」で処理すればいい

と教えてもらいました。

税務署にも確認したところ、この方法で問題ないとのことでした。

例えば、Amazonで11月1日にクリアフィルを買った場合の仕訳はこのようになります。

日付 借方 貸方 摘要
11/1 消耗品費 1,000円 事業主借 1,000円 Amazon クリアファイル購入

借方は、クリアファイルの勘定科目「消耗品費」になります。

貸方は、事業用の経費を個人のお金から支払ったので、勘定科目は「事業主借」になります。

「事業主借」は、「事業主からお金を借りている状態」を表す勘定科目です。事業用の資金からではなく、事業主個人のプライベートなお金から支払いをしたときに使います。「事業用の経費を個人のお金から支払った」、「事業用の経費を事業主個人からお金を借りて支払った」という意味で理解すると分かりやすいです。

このとき、支払い方法はクレジットカードでも、現金でも、口座引き落としでも関係ありません。事業主個人のお金から支払っている限り、支払い方法は仕訳には影響しません。あくまで、事業主個人のお金で支払った、という記録だけを残せば良いのです。

クレジットカードの引き落としについても、事業用ではなく私用の口座から引き落とすようにしておけば、記録する必要はありません。私用の口座からの引き落としであれば、あくまでもプライベートなお金の流れなので、事業の帳簿に仕訳を記録する必要はないのです。消耗品を購入したときの1行だけで仕訳は完了です。

もちろん、事業主個人のお金ではなく、事業用口座から支払った場合には貸方は「事業主借」ではなく「普通預金」になります。

クレジットカードの仕訳については『クレジットカードの支払いと引き落としの仕訳』を参照してください。

続いて、家賃を仕訳する例です。家賃が10万円で、毎月25日に個人用の口座から引き落とされ、そのうちの3万円を経費として処理するとします。その場合の仕訳は、こうなります。

日付 借方 貸方 摘要
11/25 地代家賃 30,000円 事業主借 30,000円 家賃 12月分(按分比率30%)

家賃なので、借方の勘定科目は「地代家賃」になります。

個人用口座からの支払いなので、貸方の勘定科目は「事業主借」になります。

仕訳に記帳するのは、事業に関わる3万円の部分だけです。個人で負担する7万円については、事業とは関係ないので記録する必要はありません。

家賃など、家事按分をしたものは摘要欄に按分比率をメモしておくと、後々見返したときに分かりやすいです。

フリーランスの個人事業主の場合、わざわざ事業用の現金やクレジットカードを用意する必要がありません。他の経費についても、基本的には個人用の現金、銀行口座、クレジットカードで払ってしまい、すべて「事業主借」で処理するのがシンプルいいと思います。

ただし、事業用の銀行口座については、売上を受け取るための入金用口座として用意する必要があります。