コロナの影響による家賃減額の仕訳

コロナの影響による家賃減額の仕訳
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通常の家賃減額は寄付金扱い

賃貸物件のオーナーが借主に対して家賃の減額を行った場合、通常は、減額分を「寄附金」として取り扱うことになります。寄附金には損金算入限度額があり、限度額までしか損金算入することができません。

コロナの影響による家賃減額は全額を損金算入できる

通常は寄附金として取り扱われる家賃減額ですが、新型コロナウイルス感染症の影響で家賃の減額を行った場合は、寄附金として取り扱われず、全額を損金算入することができる旨が国税庁により公表されています。

既に生じた賃料の減免(債権の免除等)を行う場合も、同様に取り扱われます。

コロナの影響による賃料減額と認められるためには次の3つの条件を満たす必要があります。

  1. 借主の収入が新型コロナウイルス感染症の影響により減少し、事業継続が困難となったこと、又は困難となるおそれが明らかであること
  2. 賃料の減額が、借主の復旧支援(営業継続や雇用確保など)を目的としたものであり、そのことが書面などにより確認できること
  3. 賃料の減額が、借主において被害が生じた後、相当の期間(通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間)内に行われたものであること

参考:国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ – 国税庁

家賃減額を行った法人の仕訳

法人がコロナの影響により家賃減額する場合の勘定科目は「支援損(もしくは雑損失)」になります。

法人オーナーが家賃減額を行った場合の仕訳は、総額処理と純額処理の2つの方法が考えられます。(総額処理か純額処理かは必ず顧問税理士やお近くの税務署にご相談ください。売上の減少が条件となる融資の申込みを検討する場合、純額処理が適切な可能性があります。)

法人が家賃減額を行った場合の仕訳(総額処理)

法人オーナーが月額1,000,000円(税抜)の賃料を30%減額した場合、総額処理での仕訳は次のようになります。

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額摘要
未収入金1,100,000円受取賃料1,000,000円○月分賃料(家賃1,000,000円+消費税100,000円)
支援損300,000円仮受消費税100,000円コロナの影響により家賃300,000円減額
仮払消費税30,000円未収入金330,000円家賃減額により消費税30,000円調整

家賃減額を行った分、消費税の調整を行う必要があるので忘れないようにしましょう。

法人が家賃減額を行った場合の仕訳(純額処理)

同じ条件で、純額処理での仕訳は次のようになります。

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額摘要
未収入金770,000円受取賃料700,000円○月分賃料(家賃700,000円+消費税70,000円)
コロナの影響により家賃300,000円減額後の純額
仮受消費税70,000円

受取賃料、仮受消費税について、減額後の金額で純額表示しています。(総額処理か純額処理かは必ず顧問税理士やお近くの税務署にご相談ください。売上の減少が条件となる融資の申込みを検討する場合、純額処理が適切な可能性があります。)

家賃減額を行った個人の仕訳

家賃減額を行った個人オーナー(青色申告など)の場合は、純額での表示のみとなります。

個人オーナーが月額1,000,000円(税抜)の賃料を30%減額した場合、仕訳は次のようになります。

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額摘要
未収入金770,000円受取賃料700,000円○月分賃料(家賃700,000円+消費税70,000円)
コロナの影響により家賃300,000円減額後の純額表示
仮受消費税70,000円

家賃減額を受けた法人の仕訳

家賃減額を受けた借主側の仕訳についても見ていきましょう。

法人がコロナの影響により家賃減額を受けた場合の勘定科目は「受贈益(もしくは雑収入)」になります。

法人が家賃減額を受けた場合の仕訳は、総額処理か純額処理の2つの方法が考えられます。(総額処理か純額処理かは必ず顧問税理士やお近くの税務署にご相談ください。)

法人が家賃減額を受けた場合の仕訳(総額処理)

法人の借主が月額1,000,000円(税抜)の賃料から30%減額してもらった場合、総額処理での仕訳は次のようになります。

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額摘要
支払賃料1,000,000円未払金1,100,000円○月分賃料(家賃1,000,000円+消費税100,000円)
仮払消費税100,000円受贈益300,000円コロナの影響により家賃300,000円減額
未払金300,000円仮受消費税30,000円家賃減額により消費税30,000円調整

家賃減額を受けた分、消費税の調整を行う必要があるので忘れないようにしましょう。

法人が家賃減額を受けた場合の仕訳(純額処理)

同じ条件で、純額処理での仕訳は次のようになります。

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額摘要
支払賃料700,000円未払金770,000円○月分賃料(家賃700,000円+消費税70,000円)
コロナの影響により家賃300,000円減額後の純額表示
仮払消費税70,000円

支払賃料、仮払消費税について、減額後の金額で純額表示しています。(総額処理か純額処理かは必ず顧問税理士やお近くの税務署にご相談ください。)

家賃減額を受けた個人の仕訳

家賃減額を受けた借主が個人(青色申告など)の場合は、純額での表示のみとなります。

個人の借主が月額1,000,000円(税抜)の賃料を30%減額してもらった場合、仕訳は次のようになります。

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額摘要
支払賃料700,000円未払金770,000円○月分賃料(家賃700,000円+消費税70,000円)
コロナの影響により家賃300,000円減額後の純額表示
仮払消費税70,000円

テナントへの書面による通知例(賃料の減額又は免除に関する覚書)

新型コロナウィルスの影響による家賃減額であると認められるためには、家賃の減額が、借主の復旧支援(営業継続や雇用確保など)を目的としたものであり、そのことが書面などにより確認できることが必要になります。

覚書は書面以外にも電子メール形式を用いることも認められています。

覚書(例)

【不動産所有者等名】(以下「甲」という。)と【取引先名】(以下
「乙」という。)は、甲乙間で締結した○○年○月○日付「建物賃貸借
契約書」(以下「原契約」という。)及び原契約に関する締結済みの覚書
(以下「原契約等」という。)に関し、乙が新型コロナウイルス感染症
の流行に伴い収入が減少していること等に鑑み、甲が乙を支援する目的
において、以下の通り合意した。

第1条 原契約第△条に定める賃料を令和2年×月×日より令和2年▲
月▲日までの間について、月額□□円とする。

第2条 本覚書に定めなき事項については、原契約等の定めによるもの
とする。

令和2年◇月◇日

出典:新型コロナウイルス感染症に係る対応について(補足その2) – 国土交通省業務連絡(令和2年4月17日)

※当サイトはあくまで一般的な情報をご紹介しているものとなります。内容に誤りがある可能性もございますので、確定申告など個別具体的な納税については必ずお近くの税理士や税務署にご相談ください。