事業開始時の預金や売掛金の仕訳処理

事業開始時の預金や売掛金の仕訳処理

Photo Anton Repponen via Unsplash

事業開始時の預金や売掛金の仕訳処理

年の途中で事業をはじめた場合でも、事業収入は年初の分から申告してOK

青色申告の対象となる期間は1月1日~12月31日です。企業のように、3月決算や9月決算といった考え方はありません。

このとき悩ましいのが開業日の考え方です。

切りよく1月1日を開業日に設定した方はシンプルですが、多くの個人事業主は開業日が年の途中になると思います。

事業からの収入が発生するのが開業日以降ならば、記帳は開業日から開始すればOKです。

問題は、開業日以前にも収入があるケースです。

ネット上には、「開業日以前に収入があっても、開業したのは開業日なのだから、記帳は開業日以降じゃなきゃダメ!」という意見も見かけますが、これは間違っています。

念のため、税務署にも確認しましたが、「開業日が8月1日の場合でも、その事業に関する収入がそれ以前にもあるならば、1月1日から記帳をスタートしてください」とのことでした。

副業でほそぼそとやっていて、軌道に乗ったから開業しよう!という場合は、その年の1月分(その事業からの収入がある月)から記帳して申請します。

開業届に記載した開業日は、確定申告の際はあまり重要視されません。

「開業日以前の収入は雑所得として、開業日以降の収入は事業所得として提出したけど問題なかったよ!」という方も居ますが、税務署も受領の際にそこまで細かくチェックしませんし、これでも問題ないと言えば問題ないと思うので、特に指摘されること無くそのまま通っているのだと思います。

いずれにしても、正しいのは、開業日に関わらず、その年の1月分(その事業からの収入がある月)から記帳することです。

「開業日以前の経費が、領収書を捨ててしまったので分からない。」という場合、その経費は申請せず、収入のみを申請すれば大丈夫です。税務署からしてみれば、経費が無い分には、納税額が増えるだけなので何も問題ありません。

事業開始時の資金は元入金で処理

複式簿記で、まず最初に行うのは事業開始時の資金を記帳することです。

事業開始時の資金は、「元入金」として仕訳します。

事業用に用意した銀行口座に残高がある場合は、このようになります。

日付 借方 貸方 摘要
1/1 普通預金 1,000円 元入金 1,000円 (前期繰越)普通預金

事業開始時に売掛金がある場合は元入金で処理

事業開始時に既に売掛金がある場合も、「元入金」で処理します。

例えば、事業開始前年の12月分の売上が1月に入金予定の場合、1月1日時点で既に売掛金が存在することになります。

日付 借方 貸方 摘要
1/1 売掛金 1,000円 元入金 1,000円 (前期繰越)売上(12月分)